昔から気になっていたことですが、今まで取り上げていませんでした。
ある程度サンプルも揃ったので、自分なりにまとめてみたいと思います。
プロモ盤白ラベルの音は良いのか?
白ラベルとは以下のようなレコードです。
これは以前に紹介した、Pisano & Ruff
同じく以前紹介したMiss Abrams And The Strawberry Point 4th Grade Class
クラシックでも白ラベルがあります。これは米マーキュリー
英デッカ
同じプロモ盤も通常ラベルにシールのタイプもあります。今回はこのタイプは除外します。
1. 一般的なレコード製造工程
参考映像として紹介します。
1. マスター音源をラッカーディスクにカッティング(いわゆるラッカー盤)
2. ラッカー盤は柔らかいため、表面に銀コーティングし、さらにニッケルメッキを施した上で剥離する。この金属盤がメタルマスター。マスタースタンパーともいう。
ラッカー盤から型をとっているので、通常のレコードとは反対の凸になっている。
3. メタルマスターにメッキをして剥離すると、通常のレコードと同じ凹のスタンパーができる。これをマザースタンパーという。最大10枚程度。
4. マザースタンパーをさらにメッキして剥離した凸のスタンパー(これも最大10枚程度)が、レコードのプレス機に取り付けられる。
また、ダイレクトカッティングというのは、通常は録音、編集して作成されるマスター音源を、その場でミックスダウンしてラッカー盤を製作することを指します。
1つのスタンパーからプレスできるレコードはだいたい2000枚程度と言われています。
つまり1つのラッカー盤から産まれるレコードは、最大でマザースタンパー10枚 x プレス機に付けられるスタンパー10枚 x 2000枚と考えると20万枚程度です。
2. レコードの1stプレスとは
大きな括りでの1stプレスというのは、最初に製作されたラッカー盤から作られたレコードを指します。
2世代目のラッカー盤から製造されたレコードが2版、以下3版…です。
マトリクス番号の最後の数字が何回目のラッカー盤かを示していると言われています。
何らかの理由でそのラッカー盤が使用されないケースもありますので、1/1の次が2/4という具合に数字が飛ぶことも珍しくありません。
再発盤の場合は、マスター音源自体が劣化しているケースが多いこと、ラッカー盤を製作するカッティング技師、機械が変わっていることが音質が大きく変わる要因として考えられます。
クラシックの場合はラベルで発売時期が分かる場合が多く、それをED1=1stプレスと呼んでいるケースも多く、ややこしいですね。
例えば、以前に紹介した英国クラシックラベル

3. プロモ盤の音質を検証する
プロモ盤は、一般流通する前に製作される場合が多いため、この観点からは初期マザーおよび若いスタンパーを使用しているケースが多いと考えられます。
レコード制作工程を考えた場合、録音当時のマスター音源を使い、然るべき録音技師がカッティングしたラッカー盤から製造されたレコードを重宝するのは自然な流れです。
ただし、場合によっては2回目のラッカー盤の方が出来が良い場合もあるでしょう。
また、最終的に1つのスタンパーから2000枚程度のレコードが製造されると考えた場合、1枚目と2000枚目では音質に差が出ると想像できます。
さすがに何枚目のプレスか知る術はありません。
結局は聴いたレコードが良いかどうかで判断するしかありません。
以前にも紹介したチョン・キョンファのレコードで比較してみました。
このレコードは10枚以上は購入しています。
基本的にA-B比較し、良い方を残して、悪い方は売っています。
過去に購入したレコードのマトリクス番号は古い順に
2W/2W
4W/2W(白プロモ)
4W/2W
5W/3W(白プロモ)
5W/3W
7W/3W
8W/4W
9W/5W
10W/5W
10W/6G(蘭プレス)
10W/7G(蘭プレス)
という結果です。
実際にはこの番号の中でもダブりもあります。
この中で、最も良かったのは2/2ではなく、4/2の白です。
このレコードだけで白プロモが優秀と結論付ける気にはなりませんが、1つの材料として紹介しました。
昔はプロモ盤(サンプル盤)というと、通常よりも安く買えるイメージでしたが、いつの頃からか希少性が高いためか高騰している印象があります。
個人的には無理にプロモ盤に手を出す必要は無いと思いますが、同じ値段で売っていればプロモ盤を選びます。
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