音楽再生ソフトRoonについて 2. 実践編

前回の続きです。

音楽再生ソフトRoonについて
総合音楽鑑賞ソフト、Roonの紹介。Roonの構造、DLNAとの違い、使い勝手など。

音楽再生ソフトRoonを使ってみる

まず、RoonはWindows or MACをCoreとして使います。
NasをRoonServerとして使うこともできますが、現時点で、QNAPとSynologyが対応し、64bitのインテルCPUと2GB以上のRAMの搭載が必須。さらに「4GBのRAMの搭載と、ドライブへのSSDの使用を強く推奨する」としています。

…かなりのハイスペックが要求されます。
バッファローのDELAや、I-O DATAのFidataでは動かないと考えてよいでしょう。
このレベルのNASを導入するとなると、それなりのPCが買えますので、現実的ではないような気がします。

今回はWindowsで導入してみました。

ダウンロードの仕方とかは、既に紹介されているサイトが複数ありますので、ここでは実際に触った印象と、メインであるラズパイとの接続、MPD(Volumio)との比較に焦点を絞って紹介します。

1. Coreに要求されるスペック

Recommended Hardware
Intel Core i3, Ivy Bridge+
4GB RAM
SSD boot drive
1440 x 900 Resolution

実際に使ってみた感じでは、CPUパワーはかなり必要な印象を受けます。
また、OpenGL 3.0 が必須です。古いCore2とかだと、別にビデオカードが無いと起動すらしないと思います。

2. RoonReadyとRoonBridge

ちょっとややこしいのですが、Coreとネットワーク接続する際に、Roon独自プロトコル”RAAT”に標準で対応しているOutputをRoonReadyと呼び、あとからソフトウエアをインストールして、RoonReadyに対応させる機器を(この場合のラズパイ)RoonBridgeと呼んでいるようです。

オーディオ機器で考えた場合は、従来のDLNAプレーヤーの場合なら、当然LAN端子を搭載していますので、DLNAとRoonReadyのどちらか、あるいは両方に対応できます。USB-DACでも新規でLAN端子を搭載する製品も出てくると思います。

前者でいえば、日本のスフォルツアートは両対応するようですし、後者だと、AyreからはQX-5 Twentyというモデルがデジタルハブという名称で登場する予定です。今後もいろいろ出るでしょう。

DLNAの場合は、PCを使わずタブレット再生が中心なのに対し、USB-DACやRoonの場合は、PCを使った再生が中心です。この辺もメーカーのスタンス、ユーザーの嗜好で選択すればよいと思います。

実際にはDLNAクライアントをPCで操作もできますし、PC再生をタブレットで遠隔操作できますので、操作面の違いはそれ程ありません。

3. Raspberry PiのRoonReady化

ラズパイ、ここではVolumioの場合は、標準でMPD/DLNA/AirPlayには対応していますが、RoonReady対応はしていません。

Volumioも現在はVolumio2が登場しています。まだベータ版で、バージョンが変わるたびに検証はしていますが、現時点でVolumioからメインで切り替えるには至りません。
※Volumio2の方が良いと思った段階で、Volumio2のことも紹介したいと思っています。

Web UIからは設定できませんので、SSHで行います。

#RoonReady化させる
root@volumio:~# apt-get install bzip2
root@volumio:~# curl -O http://download.roonlabs.com/builds/roonbridge-installer-linuxarmv7hf.sh
root@volumio:~# chmod +x roonbridge-installer-linuxarmv7hf.sh
root@volumio:~# ./roonbridge-installer-linuxarmv7hf.sh

これで、Coreから見た際に、ラズパイが表示されます。

4. MPD vs Roon

DLNAとRoonの比較記事は割と目にしますね。
Roonの方が音が良いという意見が多いようです。同一環境であれば、DLNAサーバーを介さずに、RAATで伝送できた方が良いことは、イメージしやすいと思います。

ここでは、普段使用しているVolumioとRoonの比較です。

簡単な環境を書いておくと、
ラズパイはPI2で、I2S接続。
音源はUSB-HDD

Roonの音源は再生PC(Core)内蔵のSATA-HDD

ちなみに、内蔵のSATA-HDDがリッピングしたマスターのHDDです。ラズパイのUSB-HDDはマスターからのコピー1世代目です。

率直な意見としては、ここではMPDの方が良い音です。
フワッとした空気感、SNなど厳密な比較をするまでも無く圧勝です。

ただ、当方のCoreはハイスペックではありませんので、Core側のスペックで大きく改善する要素はあると思いますし、環境によっては評価が逆転するケースもあるかもしれません。

RoonとMPDの大きな違いは、Roonは、Coreが音源の読み込みデコードを一括で行うため、音源がローカル接続されている場合でも、LANケーブルを経由してOutputへ送られることです。

MPDの場合は、MPDクライアントからの命令のみをLANケーブル経由で行っています。
ローカルで完結できる強みはある気がします。

今回の実験は、同一のNASから行うと印象が変わる可能性はあります。

5. Roonの操作性

RoonはDLNAやMPDと異なり、Controlの選択肢がほぼありません。
PCで操作するか、タブレットなどで操作するか程度の違いです。

従って、Roonの操作性、タグ情報などで満足できるかどうかは大きなポイントです。

実際のところ、dBpowerampでリッピング、タグ付けした情報に対して、Roon側で書き変えてしまう部分が結構あります。アートワーク、ジャンルなどです。

意図としては、配信、つまりTidalの情報と横断するような表記を可能にするには、Roon側のタグ付けが必要なのかもしれません。

同じPCでの比較として、RoonとCantataの違いを載せておきます。

特定のアーティストの一覧表示

roon_artist
Roonの場合は、比較的大きな画像が採用されています。

cantata_artist
続いてCantataの場合は、サムネイルは小さめの表示です。Cantataでサムネイル大の表示も可能ですが、野暮ったいので個人的には却下です。

比べて欲しい点は、アルバムの並び順です。
どちらも年代順、つまり発売順で並べていますが若干並びが異なります。

当方が付けたタグ情報に対して、Roonは勝手に入れ替えを行っています。
今回の例でいえば、Ann Sallyのデビューアルバム、Voyageの発売年、Best of Bestのアートワークが勝手に書き換えられています(しかも間違っている)。

この辺の情報は、どんどん更新されていくと思いますし、表示方法も変わっていく可能性はあります。

Roonの方が優れている点でいえば、各楽曲に対して、作曲家(コンポーザー)の情報などを紐づけしてくれる点です。また、そこから同一の作曲家は誰とか、いろいろな繋がりを提示してくれるところです。

プレイリストの作成

次に、任意の曲を5つ選んでプレイリストを作ってみました。
roon_playlist
まず、Roonの場合。選曲後のプレイリストは見やすいですが、数千枚単位のライブラリから特定の曲を選ぶのはやや手間に感じます。

アートワークが大きいので1ページに盛り込める情報が少ない点がモロに影響していますね。サイズを変更できると良いのですが…。

cantata_playlist
こちらがCantata。同じ曲を選んでみました。選曲自体はこちらの方が圧倒的に楽です。

6. 結局、Roonは買いなのか?

Roonは最小単位の1年契約でも119USDですので、決して安いサービスではありません。
月換算なら1000円ちょっとですので、現実的だと思いますが…。

向いている人は、
1. グラフィカラルなインターフェースを好む。
作品に対しての情報量は、他と比べてもかなり多く、1つの情報から横断して別の作品へ繋がっていく感じは、とても楽しいものです。

2. Tidalを利用している。
僕は利用していませんが、Tidalも連動すると、膨大な情報が連動していきます。

3. PCを使った再生スタイルに違和感を感じない。既にハイスペックPCを利用している。
RoonはCPUパワーを使いますので、旧型PCよりも新型ハイスペックPCに向いています。
Remoteによる遠隔操作もできますが、PC(場合によってはNAS)を立ち上げての使用には変わりません。
根本的にシステムの中にPCを入れたくない人はDLNAの方が違和感は感じにくいと思います。

向かない人は
1. 自分のタグ情報を勝手にいじられるのは許せない。
タグ付けに正解はありません。自分が使いやすいように、自分ルールで統一することがとても重要です。これは量が増えるほど重要になっていきます。
その点では、Roonは元の情報に独自のカスタマイズを加えていきます。

2. 曲単位で素早く選曲したい
任意の選曲に関しては、MPDのレスポンスが一番早いです。その点では、RoonはDLNA以下だと思います。
表示形式を数パターン用意するか、1ページの作品掲載数を増やせるような工夫が欲しいと思いました。

Roonは試用期間があります。
最初にカード番号を登録する必要があり、試用期間が過ぎると課金されるシステムです。
まあ、Apple Musicと同じシステムですね。

Volumioを使っている方であれば、MPD、DLNA、Roon、AirPlay全てに対応していますので、同一環境で比較すると面白いと思います。

結局、当方はMPDが一番しっくりくるので、Roonの導入は見送る予定です。

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